【ちばフラワーバス】さんむウイングライナー運行終了へ

 平成30年10月13日から山武市が実証実験運行を行っていた「さんむウイングライナー」(さんむ成田線)は、令和3年3月31日をもって終了となる。
 平成27年10月に「山武市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、地方創生に向けた取り組みとして、成田国際空港への就業の流れを強化することで、若者の地元定着等による移住定住を推進することを目的に運行。1日10往復で、停留所は(山武市役所)~(求名駅)~(城西国際大学カリヨン通り)~(成東高校前)~JR成東駅~山武成東インター入口~日向台~椎崎~さんぶの森公園~山武北小学校前~風和里しばやま~芝山中学校入口~整備地区~空港第2旅客ターミナル~(イオンモール成田)~(京成成田駅東口)となっている(カッコ内は一部のみ停車)。始発は山武市役所または求名駅、終着は空港第2旅客ターミナル、イオンモール成田、京成成田駅を組み合わせている。日中は山武市役所~イオンモール成田系統がメインで、求名駅発着と京成成田駅発着は朝夕のみとなっている。東金市の求名駅と城西国際大学カリヨン通りにも乗り入れている。成東駅にわざわざ「JR」を冠している。
 山武市役所、日向台、さんぶの森公園、山武北小学校前に無料駐車場を設置している。さらに、さんぶの森公園、山武北小学校前は駐輪場も併設している。
CSC_3254.JPG↑実証実験運行終了を告知する掲示(成東駅)
CSC_1921.JPG↑京成成田駅への乗り入れも見納め
CSC_2948.JPG↑側面の行先表示
 車両は「さんむウイングライナー」専用車として、本社営業所に専用車として3両を配置している。2運用のため2両を使用し、1両が予備となっている。いずれも京成バスからの移籍車で、松戸営業所に所属していた。側面の社名が書かれているところに、「さんむウイングライナー」と記載されている。後部には山武市のマスコットキャラクター「SUNムシくん」が描かれている。また、車内には「SUNムシくん」のぬいぐるみが置かれている。3両とも車内に成東高校美術部の描いたイラストが飾られている。当時1年生だった美術部の生徒も、ちょうど卒業の年であるのが救いであろう。
▽6456=三菱PJ-MP37JM(三菱ふそうバス製造)で、登録番号は「成田200 か 15-20」。平成16年式。の三菱エアロスターノンステップバス。京成バス松戸営業所に配属され、社番は「3379」だった。3両の中で唯一、京成バスでは一貫して松戸営業所で活躍してきた。
▽6457=いすゞPJ-LV234N1(ジェイバス)で、登録番号は「成田200 か 15-21」。平成17年式のいすゞエルガノンステップバスで、当初は京成バスの金町営業所に配置され、社番は「8187」だった。その後、松戸営業所に転属し、社番は「3187」となり、側面には、成東高校美術部の生徒と山武市出身の芸術家・バルサミコヤス氏のコラボで制作したイラストが入っている。
▽6458=三菱PJ-MP37JM(三菱ふそうバス製造)で、登録番号は「成田200 か 15-31」。平成18年式の三菱エアロスターノンステップバス。江戸川営業所に配置され、社番は「E601」だった。その後に「三菱ふそうの活躍場所」というべき松戸営業所へ転属し、社番は「3601」となった。「6456」と異なり、後期の「PJ-」のため、平成18年灯火器保安基準改正に対応しており、フォグランプが小型となっている。
DSC_2636.JPG↑「6457」(いすゞPJ-LV234N1)
DSC_1844.JPG↑「6458」(三菱PJ-MP37JM)
 「広報さんむ」令和3年2月号に、平成30年10月13日から令和2年10月31日までの実証実験の途中経過が報告されている。それによると、1日の利用者数の平均は63.6人、1便当たりの利用者数は3.2人となっている。バス停ごとの利用者数をみると、成田方面行の乗車で利用者数が多いバス停は①芝山中学校入口②風和里しばやま③JR成東駅④山武市役所⑤さんぶの森公園ーーの順で、4割を超える利用者が芝山町からの乗車だった。山武方面行の降車で利用者の多いバス停は①JR成東駅②風和里しばやま③芝山中学校入口④さんぶの森公園⑤日向台ーーの順で、市では「JR成東駅が最も多いことは実証実験の目的にかなうものだった」と評価しながらも、4割近い利用者が芝山町で降車していた。
 実証実験の結果を踏まえて、市では「現在の利用状況では、市が費用を負担しつつ路線を維持していくことは難しい」との結論を出し、本格運行に至らず終了することになった。そのうえで「今後も地域の実情に即した、市民が利用しやすい公共交通のあり方を検討する」としている。
 本来の目的だった成田空港周辺企業は、「さんむウイングライナー」沿線だけに立地しているわけないし、それぞれ就業時間も不規則で、マイカー通勤が多い。千葉・東京方面へ行くのであれば、JR総武本線やちばフラワーバスが運行している「フラワーライナー」(成東車庫~千葉駅)、「シーサイドライナー」(成東車庫~東京駅)を利用するであろう。運行回数が大いのは便利に越したことはないのだが、最初から10往復運行ではなく、利用状況を見ながら増発すべきだった。
 山武市の人口が減少しているからといって、定住促進を目的に「さんむウイングライナー」を運行するという説明は無理がある。鉄道の駅ならともかく、わざわざ「さんむウイングライナー」沿線に住まいを探して引っ越して来る人はいないだろう。山武市内からイオンモール成田への買い物はマイカーが主流と思われるし、山武市と近接する八街市にもイオン八街店があるので、本欄では論外とする。
 利用実態から分かるように、芝山町内から成田方面の利用が多いので、まさに「芝山ウイングライナー」となっている。山武市以外の利用者が多くても採算が合えば問題ないのだが、芝山中学校入口~空港第2旅客ターミナル間は「空港シャトルバス」(横芝屋形海岸~空港第2旅客ターミナル)と競合関係になっていた。芝山町からイオンモール成田や京成成田駅を結ぶ唯一の公共交通機関で、ハニワ台の近くに停留所を新設する方法もあったはずだ。「空港シャトルバス」はイオンモール成田へ行かないし、「横芝光号成田便」は風和里しばやま、芝山中学校入口は停車しない。山武市自体の人口減に加え(周辺の市町も含めて)、少子高齢化が進む今の時代に、山武市単独での路線維持は限界があり、芝山町と一体で取り組めば違った結果になったと思われる。「空港シャトルバス」は、芝山鉄道延伸連絡協議会(芝山町・横芝光町・山武市で構成)が運行主体となっており、3自治体で運行経費を負担している。「横芝光号成田便」の場合は、横芝駅が総武本線の運行回数が少ないこと、成田方面への所要時間が短いことから、有利な面があるとみられる。
 不可抗力なことだが、新型コロナウイルス感染症拡大による影響もあるだろう。月別の利用状況を把握していないが、政府による緊急事態宣言下の令和2年4~5月はかなりの落ち込みを示したはず。その後も本格的な回復に至らない中、12月頃から第三波が到来し、再び不要不急な外出の自粛要請が出され、令和3年1月には再び緊急事態宣言が発令され、2度にわたる延長を経て、現在に至っている。バスを利用しようという積極的な呼びかけは、不要不急な外出を促すことになりかねず、本末転倒となってしまう。公共交通は感染リスクが高いからマイカーを利用しているという人に対し、「乗務員はマスクの着用やうがい・手洗いを徹底し、車内は換気も優れており、バスは安全で快適な公共交通機関である」とアピールするぐらいしかできないであろう。
 成田国際空港会社(NAA)が令和3年1月29日にプレス発表した資料によると、令和2年(1~12月)の旅客便の発着回数と旅客数は、前年同期に比べて大幅減となった。航空会社はもとより、ターミナルに立地する企業の経営にも大きな影響を受けている。成田空港に乗り入れるJRの「成田エクスプレス」や京成の「スカイライナー」、リムジンバスの大幅な運休をはじめ、タクシーも惨憺たる状況となっている。国際線貨物便の発着回数は過去最高(旅客便の運休に伴う貨物用の臨時便運航による)国際貨物量は微減にとどまり、物流施設に影響がなかったのは不幸中の幸いである。まさに成田空港は貨物のハブ空港としての役割は重要で、新型コロナウイルス対策のマスクや防護用具はじめ、このたびのワクチンも成田空港に到着している。
 インバウインド需要が2019年の水準(約4,000万人)に戻るのは2024年といわれている。果たして、2030年の「訪日客6,000万人」という政府目標を達成できるのか。自治体も成田空港の機能強化による地域振興・まちづくりの効果や、航空機騒音障害防止対策事業(防音補償、エアコン補助、交付金)の期待が高く、影響が免れないであろう。

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