【日東交通】上総湊駅

 JR内房線の上総湊駅は1面2線で、朝2往復、夕方1往復の折返し列車が設定されている。富津市天羽地区の中心部で、それなりの乗降があったものの、過疎化の進行や館山自動車道の開通、海水浴客の減少などで、内房線の利用者が減少。特急「さざなみ号」も大幅に削減されたうえ、君津以南は廃止された。土休日運転の「新宿さざなみ号」のみで、上総湊に停車する。
 平成初頭まで直営駅で、売店もあった。現在は業務委託駅で、平成29年12月12日に「みどりの窓口」が閉鎖され、夜間と早朝は無人となる。また、館山保線区上総湊保線管理室も置かれていた。国鉄時代の昭和57年11月14日まで貨物扱いが行われ、側線もあったが撤去されている。
画像←降車専用ポールと上総湊駅

 さて、JR内房線の上総湊駅に隣接して、日東交通富津営業所上総湊出張所とバス乗り場がある。構内には事務所、乗務員休憩室、検修庫があり、模型のレイアウトようにコンパクトだ。施設はいずれも古びており、昔から変わっていない。
 「バスファン」昭和57年2月号によると、昭和56年11月21日現在で25両(乗合21両、貸切4両)が配置されていた。当時は車掌を含めて多くの社員が勤務し、宿泊する行路もあったのであろう。
 旧上総湊出張所は、平成6年10月1日に天羽日東バスへ分社化された。しかし、路線網の縮小の影響もあって、平成29年10月1日に再び日東交通と合併し、上総湊出張所となった。運行管理業務だけでなく、窓口業務も行っているので、車庫よりもワンランク上ということか(木更津営業所平岡車庫は窓口業務を行っていない)。
 駅前に事務所、バス乗り場、車庫が併設されているのは、日東交通グループの共通点で、鴨川駅前(鴨川日東バス)、館山駅前(館山日東バス)も同様の形態だ。このような形態は、国鉄バスを中心に地方などで見られたが、市街地は敷地が狭いことや、利用者の減少による合理化、建物の老朽化、資産の有効活用などで郊外へ移転してしまい、次第に見られなくなっている。昭和30年代のバス黄金時代の面影を残している。手前には両総通運の事務所があったが、現在は月極駐車場となったので、建物がよく見えるようになった。
 駅前通り側(千葉県道236号・上総湊停車場線)には、「バスのりば 天羽日東バス本社営業所」の誇らしげな看板があるものの、文字は消されている。回数券・定期券発売窓口の軒下がバス待合所となっている。その奥の2階建てが乗務員休憩室となっている。現在は、事務所も乗務員休憩室も2階部分は持て余しているようだ。
画像←昔ながらのバス乗り場。高島別荘入口行が発車を待つ。手前が事務所、奥が乗務員休憩室

画像←窓口も営業中

画像←発車時刻表と天羽日東バス当時の路線案内図。笹毛付近や金束方面を修正しているので、平成6年の分社当時の路線図であろう

 奥のガレージは3台分の駐車スペースがある。最盛期は整備士が何人も常駐して活気を呈していたのであろうが、現在は車検等は富津営業所併設の本社車両課で実施している。給油設備はなく、国道127号線沿いのガソリンスタンドで行なっている。洗車機もないため手洗いだ。
 出張所構内に全車が留置できないことから、未舗装の第二車庫もあり、予備車や社員の自家用車が止まっている。昔はもっと広々していたが、旧国鉄貨物扱所跡地が駅前広場として整備されたのに合わせて(平成8年3月竣工)、車庫も縮小されてしまった。内房線の車窓からこの第二車庫を眺めるのが楽しみだった。
 上総湊駅から発車するのは、竹岡線(上総湊駅~竹岡駅前~高島別荘入口~東京湾フェリー)をメインに、戸面原ダム線(上総湊駅~環駅~上後~関豊駅~戸面原ダム)、湊富津・笹毛線(上総湊駅~笹毛~佐貫町駅~大貫駅前~富津公園)の3路線で、合計しても1日二十数本に過ぎない。特に、湊富津線の上総湊駅発は朝のみ3本で、しかも1本は土休日運休だ。各路線とも内房線と接続を図って発車しており、2台同時に発車する光景が見られる。現在、3台同時発車はない。
 画像←なかなか見られなくなった木造の整備工場

画像←駅前広場から整備工場を見る。奥行きがある

画像←未舗装の第二車庫

 天羽日東バスの車両をそのまま引き継いでおり、10台が上総湊出張所に常駐している。ただし、天羽日東バス末期に大幅に入れ替わった。日東交通に統合されたにも関わらず、上総湊出張所管内でICカードを利用できないのは極めて遺憾である。
画像←湊富津・笹毛線用の三菱PA-ME17DF。君津市コミュニティバスから転用

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